アキアミ(アミエビ/秋醤蝦)

更新日:2013年03月30日(土)


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アキアミは、エビ目(十脚目)・サクラエビ科に分類されるエビの一種。日本を含む東南アジアの内湾域に生息する小型のエビで、食用や釣り餌などに利用される。標準和名に「アミ」と名がつくが、サクラエビに近いれっきとしたエビの仲間である。コマセアミやイサザアミの属するアミ目でも、オキアミ類の属するオキアミ目でもない。

塩辛にされることが多く、産地周辺で流通する。朝鮮半島ではキムチの風味付けの一つとして、アキアミの塩辛が発酵を促進し、アミノ酸のうま味を加えるという重要な材料となっている。

日本では商品名にはアミエビという商品名が付くことがある。一般的には、冷凍物、塩漬け物が出回っており、冷凍物は日本水産等が生産し、塩漬け物はキムチ料理に使用する物を流用するため、韓国からの輸入物が多い。

食用以外に、釣り餌や養殖魚の飼料にも用いられる。

アミの塩辛は、日本の有明海沿岸、中国、香港の長洲島、マカオ、韓国など東アジア各地で作られ、調味料として使用される。ここで多用されるのはアキアミやその近縁種だが、これらは厳密にはアミではなくエビの仲間である。イサザアミ(アミ目)やツノナシオキアミ(オキアミ目)などの塩辛も存在するが、アキアミほど流通していない。

香港のものは「蝦醤」(ハージョン)といい、野菜の炒め物やスープの調味に使われる。中国浙江省寧波では、ゆでた里芋につけて食べる。

フィリピンではバゴーン(bagoong)といい、料理の調味に使われる。特にカレカレ(en:kare-kare、牛テールと野菜をピーナッツソースで煮込んだシチュー)の調味には欠かせないとされる。

産地・種類

インド南部、ベトナム、中国、黄海、日本の沿岸域に分布する。
日本での分布域は秋田県以南で、富山湾、三河湾、瀬戸内海、中海、有明海などの内湾が多産地として知られる。

内湾の河口付近を大群で遊泳し、プランクトンやデトリタスを食べる。
天敵は魚類、鳥類などである。生息地での個体数は多く、食物連鎖で重要な位置を占める。

日本での産卵期は5月から10月までで、メスは交尾後に680-6800個の受精卵を海中に放出する。オスは交尾後に、メスは産卵後に死んでしまう。受精卵は直径0.25mmほどで緑色、数時間のうちに孵化し、ノープリウス3期、前ゾエア(プロトゾエア : Protozoea)3期、ゾエア1期、ミシスを経る。

日本の生息地での研究によると、アキアミには9-10ヶ月ほど生存して越冬をする「越冬世代」と、夏の2-3ヶ月だけで一生を終える「夏世代」があり、1年のうちで2-3回世代交代を行うことがわかっている。越冬世代は5-7月に産卵、生まれた夏世代が7-10月に産卵して死ぬ。また、早いうちに誕生した夏世代からもう一代夏世代が生まれ、秋に越冬世代を産卵する場合もある。越冬世代は水温が下がると成熟せずに休眠し、春に成長して産卵する。

旬・季節

生息域では曳き網などで漁獲される。漁の盛期は8-10月頃で、和名通り秋に多く漁獲される。

味の特徴

甲殻類独特の香ばしいうま味がある。

調理例

塩辛、佃煮、かき揚げ、ふりかけ等


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