キュウリ(胡瓜/오이)

更新日:2013年03月31日(日)


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キュウリはインド北部、ヒマラヤ山麓が原産。日本では平安時代から栽培される。胡瓜の「胡」という字は、シルクロードを渡って来たことを意味している。「キュウリ」の名は、熟した実が黄色くなることから、元々「木瓜」または「黄瓜」(きうり)と書いたことによる。

かつては熟した実を食用とした事もあったが、甘みが薄いためにあまり好まれず、現在では未熟な実を食用とするようになった。果実色は濃緑が一般的だが、淡緑のものもある。根の酸素要求量が大きく、過湿により土壌の気相が小さい等、悪条件下では根が土壌上部に集中する。

日本では収穫作業が一日に2~3回行われる(これには、日本市場のキュウリの規格が小果であることも一因である)。夏は露地栽培、秋から初春にかけては、ハウスでの栽培がメインとなり、気温によっては暖房を入れて栽培することもある。

採れたばかりのキュウリには薔薇のとげのようなイボがあり、素手で触ると痛い。このイボは鮮度が失われるにつれて硬さを失っていくため、このことからキュウリの鮮度を見分けるための目安にもなる。イボの部分に雑菌などが付く恐れがあるため、近年ではイボの無い品種も開発されている。

産地・種類

生産高は2004年、2005年は群馬県が第一位であったが、2006年からは宮崎県が第一位である。非常に種類が多く、世界中で500もの品種が栽培されている。分類方は幾つかあるが、果実の性質によれば白イボ系と黒イボ系に大別される。

<白イボ系>

現在栽培されている胡瓜の90%以上が白イボ系。もともとは皮が薄くて歯切れが良い。

<黒イボ系>

春に収穫するタイプで以前は南西日本で多く栽培されていたが、皮が厚く、白イボ系の真夏の旬の味に劣るため、現在では九州・四国でわずかに作られているだけである。

<四葉(スーヨー)胡瓜>

本葉が四枚付いた頃から実がなるのでこの名がある。白イボ系胡瓜。普通の白イボ胡瓜の1.5倍ぐらいの大きな瓜。イボと皺が多く見た目が悪い上に鮮度落ちが早いが、歯切れが良く漬物にもむく。

<四川胡瓜>

四葉胡瓜の改良型。大きさは普通の白イボ胡瓜と同じぐらいである。四葉と同様に皺が多い。

<その他の品種>

  • 馬込半白胡瓜(まごめはんしろきゅうり)

東京都大田区の伝統野菜。明治時代に節成胡瓜を改良した品種で、実の長さは10cm強と小さく、色は大部分が白っぽく、元の一部のみが緑色である。小さい上に傷みやすく、流通に向かないため、現在はほとんど栽培されていない。

  • 高井戸節成胡瓜(たかいどふしなりきゅうり)

東京都杉並区の伝統野菜。馬込半白胡瓜と練馬の枝成胡瓜の交配から生まれた固定種。現在はほとんど栽培されていない。

  • 加賀太胡瓜(かがふときゅうり)

石川県の伝統野菜。実が白瓜のように太く育つのが特徴で、重さが1kgを越えるものも珍しくない。皮は固いが、果肉は軟らかく、他の品種よりもビタミンB2を多く含む。

  • 聖護院胡瓜(しょうごいんきゅうり)

江戸時代から伝わる京都市の伝統野菜。実は濃緑色で三角形の断面となるのが特徴で、明治時代には左京区聖護院を中心に栽培されていたが、現在はほとんど栽培されていない。

  • 毛馬胡瓜(けまきゅうり)

大阪府の特産種で、30cm以上の長い実ができる。元は緑で先は白のグラデーションとなり、歯ごたえがよいのが特徴。江戸時代の摂津国毛馬村(現大阪市都島区毛馬町)が発祥の地とされ、「浪華漬」と呼ばれる粕漬けの原料として周辺地域でも栽培されるようになったが、収率が悪いため廃れ、現在は、南河内郡河南町を中心に伝統野菜として栽培されているにとどまる。

  • 大和三尺(やまとさんじゃく)

奈良県特産の品種で、実が最大90cm程度にもなるので、この名がある。奈良漬けにも加工される。

栄養分・効能・効果

キュウリは全体の90%以上が水分で、栄養素はビタミンC、カロチン、カリウムなどが含まれるが含有量は非常に低い。その低さたるや、「世界一栄養が無い野菜」としてギネスブックに登録されるほどである。さらに、キュウリにはビタミンCを酸化させる酵素(アスコルビナーゼ)が含まれるため、食べ合わせによっては他の食品の栄養までをも奪っていく取り扱いの難しい野菜である。

そのため、ビタミンCを多く含む食材とあわせて調理する際には、酵素の働きを抑える酢を使うことが望ましい。(ピクルス等)また加熱調理も酵素の働きを抑えることができる。

 

きゅうりの健康効果

きゅうりは、主成分の90%以上が水分だが、ビタミンA・B群・Cや、カルシウム・カリウム・鉄などのミネラル、食物繊維をバランス良く含んでいる。ビタミンA(β-カロチン)は、活性酸素の働きを抑制する作用があり、ガンを防ぐ効果がある。また、皮膚・粘膜・目の網膜を健康に保つ作用のほか、風邪の予防、つまり免疫力を強化し細菌やウイルスから身体を守る働きがある。

ビタミンCは、肌や皮膚の老化を防ぎ美容に役立つ栄養素である。またきゅうりには、カリウムが豊富に含まれており、むくみを改善する効果や利尿を促す作用、体内に蓄積されたナトリウム(塩分)の排泄を促し高血圧を予防する働きもある。

さらにきゅうりの青臭さの成分である『ピラジン』は、血栓を予防し、脳梗塞・心筋梗塞などに効果があると言われている。ほかにもきゅうりには、身体にこもった熱を取り除く作用や、アルコール代謝を促す働きがあり、夏バテ予防・二日酔いに摂りたい食材の一つでもある。

味の特徴

キュウリは殆どが水分であり、そのうえ未熟な状態で収穫されるため、品種間での食味の差は小さい。しかし、収穫遅れや鮮度の低下したものは歯応えが悪くなる。調理されてから食べられるまでの時間が長くなると、表面が乾燥するうえ香りが飛んで食味が落ちるとする意見もある。

調理例

生のまま味噌をつけて齧ったり、サラダ、寿司(かっぱ巻き)、酢の物、和え物、塩揉みなどで供されるほか、ピクルス、オイキムチ、奈良漬け、醤油漬けなどの漬物の材料として使われる。日本の料理で加熱調理されることは少ないが、中華では煮物や炒め物としても利用される。


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